公務員の手記や退職者の告白録、各種オープンワークの生の声において、もっとも過酷な体験談が集まるのが課長補佐のポジションです。現場からは次のような生々しい声が寄せられています。
「課長は政策的な大きな方針だけを指示し、実働部隊である係長や主任は『具体的にどう進めればいいか分からない』と突き上げてくる。両者の間に挟まれ、予算折衝から法制局審査の対応、部下のメンタルケアまで全て課長補佐ひとりに集約される。体力的にも精神的にも一番削られるポストだった」(元中央省庁課長補佐の手記より) 「係長までは自分の係の数字と部下を見ていれば完結した。しかし補佐になった瞬間、課全体の他部署との利害調整やクレーム処理、議会対応が雪崩れ込んできた。権限は課長にあるのに責任だけを負わされる感覚が強く、胃薬が手放せない」(政令指定都市現役職員の証言)
組織社会学の観点から分析すると、この現象は「役割葛藤(Role Conflict)」と「境界連結者(Boundary Spanner)の過負荷」として説明できます。課長補佐は、経営層・幹部が描く抽象的なビジョンを、係長以下の現場が実行できる具体的タスクへと翻訳する「結節点」です。上位層のプレッシャーと下位層の不満が同時にぶつかる緩衝地帯であり、心理的バウンダリー(境界線)を強固に保てない人物は容易にバーンアウト(燃え尽き症候群)へと追い込まれます。