近年、製作活動の風景が劇的にシンプルになった背景には、行政側の明確な方針転換がある。こども家庭庁が発足以降、一貫して現場に求めているのは「結果としての作品」ではなく「過程における子どもの主体的な体験」だ。
昭和から平成にかけての保育現場では、全員が同じ顔のサンタクロースを寸分違わぬ手順で作ることが美徳とされた時期もあった。しかし現在、そうした一斉指導は急速に姿を消している。決まった枠の中にパーツを貼らせるだけの作業は、子どもの自己表現を奪うだけでなく、準備に追われる職員の疲弊を生む元凶と見なされるようになったからだ。
工程を削ぎ落とし、子どもが自由に選べる素材の選択肢を増やす。失敗の余地を残すことで、子どもは「糊が多すぎて紙が破れた」「毛糸が外れたから巻き直した」という自発的な気付きを得る。行政が掲げる幼児教育の質的向上は、まさにこの冬の作業台の上で試されている。