天童と将棋の結びつきは深い。江戸時代末期、天童織田藩の藩主であった織田信美の時代に財政難を救うため武士の内職として奨励された駒作りが、今や国内シェアの大半を占める一大伝統工芸へと昇華した。施設内には飾り駒や彫り駒の逸品が並び、ガラスケース越しに見入る愛好家の熱気が漂う。
この伝統に現代のカルチャーが融合し、人の流れを加速させている。人気作品『3月のライオン』の舞台として描かれたスポットを巡るファンに加え、将棋界の絶対的エースである藤井聡太竜王・名人の活躍が追い風となり、対局で使われる高級駒への問い合わせが急増した。さらに春の一大イベント「天童桜まつり 人間将棋」の開催時期ともなれば、道の駅は全国から集まる将棋ファンの情報交換所と化す。プロ棋士の揮毫入りグッズを買い求めるファンが開店前から詰めかける光景は、もはや季節の風物詩だ。