現代のテキストコミュニケーションでは、予測変換や自動校正の普及によって、思わぬ誤用やマナー違反が多発しています。編集部が実際のビジネス現場やSNS投稿を調査したところ、特に注意すべき盲点が3つ存在することが分かりました。
第一の落とし穴は、お悔やみのメッセージにおける「逝く」の過剰使用です。親しい知人の訃報に接した際、感情移入のあまり「安らかに逝ってください」と書いてしまうケースが見受けられますが、これは話し言葉的な軽さが残るため、公式な文脈では「安らかなるご永眠をお祈りいたします」や「ご逝去を悼み」と言い換えるのが正式な礼儀です。「逝去」という熟語自体に敬語のニュアンスが含まれているため、「逝去される」という二重敬語にも注意が必要です。
第二の落とし穴は、ビジネスメールで頻出する「行かせていただきます」という過剰敬語の乱用です。「行く」の謙譲語は基本的に「参ります」や「伺います」であり、「行かせていただきます」は相手から許可を得て自らの行動を行うという限定的な場面(例:出張の承認を得て赴く場合)でのみ成立します。日常の訪問連絡であれば「明日の14時に伺います」とシンプルに伝える方が、明瞭で信頼感のある印象を与えます。
第三の落とし穴は、「うまくいかない」などの補助動詞を漢字で「上手く行かない」と表記してしまう誤解です。公用文の用字用語基準において、本来の移動の意味を失った形式名詞や補助動詞は「ひらがな表記(うまくいく)」が鉄則とされています。視覚的なノイズを減らし、読みやすさを保つ上でも平仮名表記の原則を意識することが重要です。