日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会などの全国調査データを俯瞰すると、全国のスギ花粉症有病率は約42.5%に達しており、通年性アレルギー性鼻炎などを合わせると国民の約半数が鼻アレルギーを抱えています。裏を返せば、国民の約5割強は現在も花粉症を発症していません。
年齢層別に見ると、10代から50代にかけての発症率が極めて高いのに対し、高齢層では有病率が低下する傾向にあります。ここで注目すべきは、「これまで一度も花粉症になったことがなく、生涯にわたって発症しない人」の存在です。専門家の間では、生涯にわたり花粉症と無縁でいられる人の割合は人口の約20〜30%程度と推計されています。
さらに興味深いのは、自覚症状が一切ない無症状・発症しない人の共通点を調べた臨床データです。医療機関のアレルギー検査(View39やMAST48など)を受けると、スギ花粉に対する特異的IgE抗体が検出されるにもかかわらず、一切のアレルギー症状が出ない「無症候性感作(むしょうこうせいかんさ)」の状態にある人が少なくありません。体内に抗体という火種がありながら、臨床的な炎症反応にまで至らないブレーキ機能が働いているのです。