彼の代表作として名高い『本人』(顔真似写真集)シリーズは、単なるタレントのモノマネとは一線を画す視覚芸術の金字塔だ。自らの顔に最小限のメイクと小道具、そして絶妙な表情の歪みを加えるだけで、夏目漱石からマリリン・モンロー、さらには実在の知人に至るまで、驚くべき精度で「その人そのもの」に変貌してみせる。
この試みは、グラフィックデザイン業界や広告クリエイターたちに強烈なインパクトを与えた。視覚記号の配置と人間の認識プロセスの関係性を暴き出すようなコンセプチュアルな面白さ。東京イラストレーターズ・ソサエティなどの職能団体においても、イラストレーターという枠組みを軽々と飛び越えた先駆的な実践として高く評価され続けている。