長年、世界の高級車市場において VIPの足といえば、大型の3ボックス・セダンが不動のデファクトスタンダードだった。メルセデス・ベンツSクラスやBMW 7シリーズがその代表格だ。しかし今、その勢力図が激変している。
アジアの主要都市を皮切りに、欧州や中東のセレブリティの間でもラグジュアリーMPVを選択する動きが爆発的に広がっている。広大な頭上空間、圧倒的な乗降性、そしてフルリクライニング可能なシート足元の余裕――セダンの物理的限界を超えた空間価値が、多忙なVIPたちの心を捉えて離さない。高級車に対する価値観が「見せるステータス」から「過ごす時間の質」へと大きくシフトした歴史的転換点と言えるだろう。