セコンド編は単なる休養期間ではなく、幕之内一歩というボクサーが「欠落していたピース」をすべて埋めるための期間でした。現役時代の一歩は、類まれな打たれ強さと突進力に依存するあまり、被弾を前提とした無謀なインファイトを展開していました。しかし、リングの外から試合を俯瞰する視点を得たことで、以下の劇的な進化を遂げています。
- ジャブと左の重要性の再認識:相手の動きを制動し、距離を支配する正統派ボクシングの基礎を理論として完全体得。
- サウスポーへの完全適応:弟子の指導を通じて苦手としていたサウスポーの軌道や死角を克服。
- 常時負荷トレーニングによる体幹の超人化:現役引退後もリストウェイトとアンクルウェイトを外さず、日常の釣り船業務をこなすことで、現役時代を遥かに超える筋持久力と瞬発力を獲得。
その成果が如実に現れたのが、世界王者ヴォルグ・ザンギエフや日本王者ライバルたちとの非公式スパーリングです。一歩は現役世界王者であるヴォルグを相手に、引退中かつブランクがある状態でありながら圧倒的なプレッシャーをかけ、縦横無尽に軌道を変える新型デンプシーロールを部分的に発動。ヴォルグに「現役時代より遥かに強い」「化け物」と言わしめるほどのインパクトを残しました。