透明度を極限まで高めるための最重要課題が「気泡の除去」と「経年劣化による黄変の防止」です。美しいクリア作品を生み出す作家たちは、科学的な理屈に基づいた下処理を徹底しています。
レジン液を混ぜる際に発生する微小な気泡は、液の粘度が高いほど内部に閉じ込められます。これを解消する最も手軽かつ強力なテクニックが「攪拌前の40℃湯せん」です。主剤と硬化剤の容器をチャック付きポリ袋に入れ、40℃程度のお湯に5〜10分浸すことで、レジンの粘度がサラサラの水のように低下します。粘度が下がった状態でゆっくり一定方向にマドラーを動かせば、攪拌時に空気を巻き込みにくくなり、発生した気泡も自重差で素早く水面へ浮上します。
モールドに流し込んだ後に表面に残った気泡には、ドライヤーではなく「エンボスヒーター」を使用します。ドライヤーの強風は液面を波立たせてゴミを巻き込むリスクがありますが、エンボスヒーターの局所的な熱風であれば、ピンポイントで液面を温めて表面張力を破壊し、一瞬で気泡を破裂・消滅させられます。奥底に残った気泡は調色スティックやつまようじで優しく浮上させ、ライターの炎をサッと一瞬だけかざす手法も有効です。
また、完成後の作品をいつまでも美しく保つためには「黄変防止対策」が欠かせません。エポキシ樹脂は太陽光に含まれる紫外線(UV)や熱によって分子構造が酸化劣化し、黄色く変色していきます。作品を長く楽しむためには、製品スペックに「耐光性・UVカット剤(HALS・紫外線吸収剤)配合」と明記された高品質な2液性レジンを選ぶことが第一歩です。完成品にはUVカット効果のあるクリアコーティングスプレーを施し、直射日光の当たる窓際を避けて保管・ディスプレイすることを徹底しましょう。