『VIVANT』の真骨頂は、野崎と乃木憂助の化かし合いにある。気弱な商社マンを装う乃木と、彼の中に潜むタタール人の血と「別班」の影を逸早く察知した野崎。二人が機内で機転を利かせ合い、追手を振り払う序盤の脱出劇は、まさに屈指の名シーンだ。
お互いの手の内を探り合い、騙し、騙されながらも、どこかで互いの能力を認め合っている。野崎は乃木を「ハリー・ポッター」になぞらえ、その底知れぬ素顔を暴こうと執念を燃やした。互いに国家を愛し、守ろうとしながらも、表の警察と裏の別班という相反する正義に生きる二人。彼らが交わした握手や無言のアイコンタクトには、言葉以上の重みが宿っていた。