かつて認知症は、本人や家族にとって「隠さなければならないもの」だった。世間の無理解と偏見が、当事者を孤独の淵へと追いやっていたのだ。だが、その潮流は今、根底から崩れ去りつつある。
スクリーンで圧倒的な存在感を放った俳優、国家の舵取りを担った政治家、あるいは言葉で時代を紡いだ作家たち。彼らが自らの記憶の陰りを公に告白した瞬間、社会の空気は一変した。沈黙を破る決断。それは決して哀れみを誘うためのものではない。自らの威厳を保ち、同じ病と戦う人々に「あなただけではない」と呼びかける、魂のメッセージだったのだ。