このスープの懐の深さは、ジャンルを選ばない柔軟性にある。澄んだ昆布と鰹節の出汁に三つ葉や柚子皮を散らせば、凛とした和食の情緒が広がる。素材本来の甘みと香りが引き立ち、一口ごとに舌が研ぎ澄まされていく感覚を味わえるだろう。
一方で、鶏ガラスープをベースに仕立て、仕上げに溶き卵と黒胡椒を効かせれば、本格的な中華料理の酸辣湯(サンラータン)風やとろみスープへと早変わりする。えのきから溶け出す天然のとろみが出汁と絡み合い、豆腐のやわらかな食感を包み込む。和と中、その日の気分や体調に合わせて自在に表情を変えられる点こそ、飽きずに愛され続ける最大の理由だ。