浴室の扉を開けた瞬間、視界に飛び込んでくるのは深みのある褐色に濁った湯だ。この湯は、地下1530メートルという深層から汲み上げられている。数百万年前の太古の海水が地層深くに閉じ込められ、気の遠くなるような時間をかけて熟成された化石海水型の温泉だ。
泉質名は「ナトリウム-塩化物強塩温泉」。塩分濃度が非常に高く、海水の約半分の濃さに達する。指先をお湯に浸して舐めてみると、強烈な塩辛さとわずかな出汁のような旨味、そして金気臭を感じる。この高濃度の塩分が皮膚表面の汗腺を塞ぎ、汗の蒸発を防ぐため、抜群の保温・保湿効果を発揮する。湯冷めしにくく、「熱の湯」と呼ばれる所以がここにある。