配信映画が映画史のメインストリームへ躍り出た決定打といえば、アルフォンソ・キュアロン監督による『ROMA/ローマ』をおいて他にない。70mmフィルムを思わせる圧倒的なモノクローム映像と、空間を満たす緻密な音響設計。1970年代初頭のメキシコシティを舞台に、ある先住民族の家政婦の日常を私小説的な眼差しで捉えた本作は、アカデミー賞で監督賞を含む主要部門を席巻した。
リビングのテレビ画面であっても息を呑むような映像美は、映画館至上主義の批評家たちをも沈黙させた。個人の記憶が普遍的な芸術へと昇華される奇跡を、この一本で体感できる。