アスペリティの破壊は突発的に起きるだけではありません。近年の高精度なGNSS観測や海底圧力計のデータにより、スロースリップ(ゆっくりすべり)とアスペリティの相互作用が明らかになってきました。
スロースリップが発生すると、その領域に溜まっていた歪みは解消されます。しかし、解放された力は消えてなくなるわけではなく、隣り合っているアスペリティ(固着域)の端部に押し付けられます。つまり、アスペリティの周囲がツルツルと滑ることで、残された固着部にすべての負荷が集中し、結果として臨界点への到達を早めてしまうのです。
2011年の東日本大震災でも、本震発生の約1か月前から震源域近傍でスロースリップが発生していた事実が事後解析で判明しています。海底観測の現場では、微小な地殻変動や深部低周波地震の群発をキャッチすることで、「どの固着域に応力が集中しつつあるか」を24時間体制で監視し続けています。