仁科克基氏が背負う家系図の系譜は、日本の映画・伝統芸能の歴史そのものと言っても過言ではありません。
父方は、昭和の時代劇映画の巨星・近衛十四郎氏を祖父に持ち、父は映画界を牽引した大看板・松方弘樹氏、叔父には名優・目黒祐樹氏が名を連ねます。一方の母方は、新派の巨匠・初代水谷八重子氏を祖母、十四代目守田勘弥氏を祖父に持ち、母は元宝塚歌劇団および映像の世界で気品ある存在感を放ち続ける仁科亜季子氏です。妹の仁科仁美氏もタレント・モデルとして広く知られています。
この華麗すぎる血筋は克基氏に天賦の才を与えた反面、深い家庭の葛藤をもたらしました。1998年、父・松方弘樹氏の愛人・隠し子騒動を機に両親が離婚。当時10代半ばだった克基氏は母・亜季子氏を支える立場を選び、父・松方氏とは約15年間に及ぶ完全な絶縁状態に突入しました。
親子の距離が再び縮まり始めたのは2010年代に入ってからのことでした。バラエティ番組での共演や共通の趣味であるゴルフ・釣りを介して徐々に対話が再開されたものの、2017年1月、松方弘樹氏は脳リンパ腫により74歳で急逝。病状悪化の知らせを受けた克基氏は病床への駆けつけを望みましたが、複雑な家庭事情から最期の瞬間に立ち会うことは叶いませんでした。葬儀後に語られた「もっと親父に甘えたかった、生前に腹を割って話したかった」という悔恨の言葉は、二世として生きた息子の偽らざる本音として世の涙を誘いました。