映画の倫理的な議論とは裏腹に、マチルダというキャラクターが放った視覚的なインパクトは、ファッション界において不滅のアイコンとして君臨し続けています。短く切り揃えられた前髪のボブカット、首元を飾る太めのタトゥーチョーカー、オーバーサイズのMA-1フライトジャケット、そして無骨なコンバットブーツ。少女の脆さと戦闘服のような無骨さをミックスさせたスタイルは、90年代ストリートカルチャーの金字塔となりました。
公開から数十年が経過した現在も、Z世代を中心とする若者たちの間で「マチルダ・スタイル」はリバイバルを繰り返しています。SNS上ではハロウィンの定番コーディネートとして定着しているほか、韓国カルチャーのK-POPアイドルや原宿ストリートのトレンドにも、マチルダをオマージュしたヘアスタイルやスタイリングが頻繁に見受けられます。
なぜマチルダのビジュアルは、これほどまでに時代を超えて人々を魅了するのでしょうか。現場で衣装を担当したマギャリー・ギダッシによるスタイリングは、大人の都合で着せられた服ではなく、「家族を奪われた少女が、生き延びるために自分の意志で選んだ戦闘服」という物語性を帯びていました。彼女のスタイルに宿る反骨精神と孤高の美学が、いつの時代の若者にとっても、社会規範に抗う自己表現の象徴として響き続けているのです。