「成長に伴う緩やかな変色」とは明確に区別しなければならないのが、成猫になってからの突然の目の色の変化です。成熟した猫の虹彩の色が後天的に変わることは、生理学的にはあり得ません。成猫の瞳が緑色っぽく濁ったり、赤みや茶色のシミが出現したりした場合、それは失明や命に関わる眼疾患の警急アラートです。
現場の獣医眼科において特に警戒されるのが、ぶどう膜炎と緑内障の2大疾患です。
猫の目の色が突然変わる病気の原因と症状について、飼い主が即座に確認すべき危険な兆候を整理しました:
- 緑内障(眼圧亢進症):眼球内の房水の排出が滞り、眼圧が異常上昇する病気です。角膜に浮腫が生じることで瞳全体が白緑色や青白く濁って見える(角膜水腫)ようになり、瞳孔が散大したまま光に反応しなくなります。発症から24〜48時間で視神経が壊死し、永久的な失明に至る恐れがある緊急疾患です。猫は痛みを隠すため、食欲不振や急に触られるのを嫌がるといった行動変化にも注意を払う必要があります。
- ぶどう膜炎:虹彩、毛様体、脈絡膜に炎症が起きる疾患です。血管から漏れ出た炎症性物質(フィブリンや白血球)が前房内に沈殿し、瞳が濁って見えるほか、虹彩の血管拡張によって赤みを帯びたり暗褐色に変色したりします。猫伝染性腹膜炎(FIP)、猫白血病ウイルス(FeLV)、トキソプラズマ感染症など、致死性の高い全身性疾患の初発症状として現れるケースが少なくありません。
- 角膜浮腫およびメラノーマ(悪性黒色腫):角膜の表面が傷つく角膜潰瘍や内皮不全により、光の屈折が乱れて緑青色に濁ることがあります。また、虹彩表面に黒褐色〜濃い緑色の斑点が徐々に広がる場合は、悪性腫瘍である虹彩メラノーマが疑われ、眼球摘出が必要になる局面も存在します。