てっさの味わいを決定づけるのが薬味の存在です。ふぐ自体は非常に上品で澄んだ旨味を持つため、薬味とポン酢の組み合わせが美味しさを大きく左右します。
本場・下関のふぐ料理で欠かせないのが「安岡ねぎ(やすおかねぎ)」です。山口県下関市安岡地区で栽培される極細の小ねぎ(寸胴ねぎ)で、一般的な青ねぎに比べて繊維が細かく、ツンとした刺激臭が少ないのが特徴です。ふぐの繊細な風味を邪魔せず、上品な香りと甘みだけを添えるため、安岡ねぎとふぐ刺しの相性は唯一無二と称されています。
もみじおろしとポン酢の食べ方:溶かすか、乗せるか?
多くの人が迷うのが「もみじおろし(大根に唐辛子を詰めてすりおろしたもの)をポン酢に溶かすべきか」という点です。
料理人の多くが推奨する粋な作法は、ポン酢に溶かさず、刺身の上に直接乗せる方法です。もみじおろしをポン酢に溶かしてしまうと、ポン酢全体が濁り、辛味と酸味が平板になってしまいます。また、大根が水分を吸ってポン酢のキレが失われてしまいます。
職人が教える「てっさのねぎ巻き方」3ステップ
- 身を取る:銘々皿から箸でてっさを2〜3枚、手前に引き寄せる。大皿の場合は必ず「外側の身」から取る。
- 薬味を包む:2〜3本に切り揃えられた安岡ねぎの上に、少量の生もみじおろしを乗せ、てっさでくるりと巻く。
- ポン酢をくぐらせる:巻いた先端をポン酢に軽く浸し、口へ運ぶ。柑橘(だいだいやすだち)の爽やかな酸味の後から、ふぐの旨味とねぎの甘みが広がります。