一般読者にその名をとどろかせた金字塔といえば、NHK出版から刊行された『ふしぎなキリスト教』だろう。気鋭の社会学者・大澤真幸との徹底対談で構成された同書は、新書大賞を受賞し、知的な大ベストセラーとなった。
本書が画期的だったのは、キリスト教を単なる個人的な「信仰」としてではなく、西洋近代の政治・経済・法制度を駆動させる「巨大なオペレーティングシステム」として解体してみせた点にある。一神教という特殊な思考様式がいかにして近代資本主義や普遍的人権思想を生み出したのか。二人の社会学者が交わす丁々発止の議論は、日本人の宗教観を根底から揺さぶり、比較宗教学の新たな扉を開いた。