ドラッグストアに並ぶ医薬品の多くは、複数の有効成分を配合した「複合製剤」だ。ここに大きな落とし穴がある。熱があるからと総合感冒薬を飲み、頭痛もするからと市販の鎮痛薬を追加する。この時、双方に含まれるアセトアミノフェンが知らぬ間に致死的な過剰摂取(オーバードーズ)となり、重篤な急性肝不全に至るケースがある。
臨床薬理学・医療情報学の視点からも、薬物の代謝経路である肝臓の代謝酵素(CYP450など)のキャパシティを超えた併用は極めて危険視されている。代謝が遅れた成分は血中に高濃度で滞留し、本来の治療効果ではなく毒性として全身を襲う。成分名を確認せず「風邪薬」や「胃薬」といった製品カテゴリーだけで判断することは、暗闇でアクセルを踏み込む行為に等しい。