世界の政治体制を大別すると、アメリカに代表される大統領制と、日本やイギリスが採用する議院内閣制の2つの潮流に分かれます。この二者を区別する最も根源的なポイントは、権限の性質と選出プロセスの違いにあります。
政治学において、大統領は基本的に国家元首(Head of State)であり、対外的に国を代表する最高位の存在です。一方の首相(Prime Minister)は「首席大臣」を意味し、行政各部を統括する行政権の最高責任者(Head of Government)として位置づけられます。
両者の構造的差異を際立たせるのが、権力分立のあり方とリーダーの選び方です。
アメリカ大統領に代表される純粋大統領制では、三権分立が徹底されています。国民が直接的(または選挙人を通じた間接選挙)にリーダーを選出するため、大統領は議会から完全に独立した強い民主的正当性を持ちます。アメリカ大統領 権限の強大さは特筆すべきものがあり、法案提出権こそ持たないものの、議会が通過させた法案に対する「拒否権」や、軍の最高司令官としての指揮権、連邦最高裁判事の指名権などを一手に掌握します。議会は大統領を簡単に解任できず、大統領も議会を解散できません。
対照的に、議院内閣制における首相は、国民が選んだ国会議員の中から議会の議決によって指名されます。つまり、国民からの信任は議会を経由する間接的なものです。内閣は議会の信任を基盤に存立するため、議会と行政府が協調してスピーディーに政策を実行できる反面、議会で不信任決議が可決されれば退陣を余儀なくされ、首相側も対抗措置として議会解散権を行使するという、相互の牽制関係の上に成り立っています。