冷凍庫の扉を開けて大葉を取り出した瞬間、緑色を失い黒っぽく変化した姿を見て「冷凍したのに腐ったのか」と疑う声は後を絶ちません。しかし、マイナス18度以下に保たれた一般的な家庭用冷凍庫内では、細菌や微生物の増殖は実質的に停止しています。つまり、購入直後に冷凍庫へ入れたのであれば、短期間で腐敗菌が繁殖して腐る確率は極めて低いといえます。
では、一体なぜ緑色の大葉が黒ずんでしまうのでしょうか。その主因は、大葉の冷凍変色の理由として知られる「細胞組織の破壊」と「酸化反応」の連鎖にあります。
大葉は非常に薄く繊細な葉物野菜であり、組織の大半が水分で満たされています。家庭の冷凍庫でゆっくりと凍結(緩慢凍結)が進むと、細胞内の水分が大きな氷の結晶へと成長し、細胞壁を内側から突き破ってしまいます。この細胞破壊によって、通常は細胞内で隔離されていた酵素(ポリフェノールオキシダーゼ)とポリフェノール成分(シソニンやロスマリン酸など)が混ざり合い、庫内の酸素と触れ合うことで急速な酸化褐変を引き起こすのです。
さらに、大葉はもともと温暖な気候を好むシソ科植物であり、過度な低温にさらされると大葉の低温障害を起こしやすい性質を持っています。冷蔵室の冷気が直接当たる場所や野菜室以下の低温下で長期間放置されるだけでも葉組織が弱まり、冷凍プロセスと合わさることで冷凍大葉の黒ずみの原因が一気に加速してしまいます。