一時的な精神疲労にとどまらず、背景に特定の医学的病態が潜んでいるケースは少なくありません。漫然と放置することで重篤な精神障害へと進行するリスクを避けるためにも、客観的な兆候の把握が求められます。
第一に警戒すべきは、うつ病の初期症状と前兆です。典型的なサインとして、これまで夢中になれていた趣味に対して「1ミリも興味が湧かなくなる(アヘドニア)」、休日にいくら眠っても泥のような疲労感が抜けない、感情の起伏が消失して能面のような表情になる、といった変化が挙げられます。「消えたい」というつぶやきが日常化している場合、セロトニンやノルアドレナリンの神経伝達が決定的に損なわれている可能性を疑うべきです。
第二に、職場で献身的に成果を出し続けてきた層を直撃するバーンアウト症候群(燃え尽き症候群)です。過度の努力と情熱を注ぎ込んだ末、期待された見返りや手応えを得られず、情緒的消耗感、脱人格化(同僚や顧客に対して冷淡で無機質な態度をとる)、達成感の低下という3大兆候が揃ったとき、突如としてキャリアと人生の全盤を否定するような逃走衝動が噴出します。
さらに、身体の恒常性を維持するバランスが崩れる自律神経失調症とメンタル不調の相互作用も無視できません。頸肩腕の異常な緊張、原因不明の微熱、頻脈、胃腸障害などは、交感神経が暴走した結果生じる代表例です。身体の悲鳴が脳へフィードバックされ、思考の柔軟性を奪うことで「現状をリセットするには自分の存在を消すしかない」という破滅的な認知のトラップを形成していきます。