私たちが幼い頃に絵本で目にする「金太郎」と、歴史絵巻に登場する猛将「坂田金時」は、同一人物の幼少期と成人後の姿を指しています。伝説によれば、金太郎は足柄山(現在の神奈川県・静岡県境)の山奥で山姥(やまんば)の子として生まれ、大自然の中で熊や鹿などの野生動物を相手に相撲を取って育ちました。
転機が訪れたのは、平安時代の高名な武将・源頼光(みなもとのよりみつ / らいこう)との運命的な出会いです。東国への巡歴中に足柄山を通りかかった頼光は、大きな岩を持ち上げて川に橋を架ける怪童・金太郎の並外れた力と純真な眼差しに目を奪われました。
頼光はその異才を高く評価し、母の山姥を説得して家臣としてスカウトします。京の都に上った金太郎は元服を果たし、正式に「坂田公時(金時)」の名を授かりました。幼名である金太郎の素朴な怪力伝説は、都の洗練された軍事力と結びつくことで、国家の危機を救うエリート武将の武勇伝へと昇華していったのです。