皮膚がんはメラノーマだけではありません。日本人において発生頻度が最も高いのは「基底細胞がん」であり、次いで「有棘(ゆうきょく)細胞がん」が多く見られます。これらはメラノーマとは全く異なる外見的特徴を示すため、疾患ごとの個別の兆候を把握しておく必要があります。
基底細胞がんの特徴は、顔面(特に鼻の周囲、まぶた、唇周辺)に好発し、初期には小さな黒いホクロのように見えます。しかし、徐々に進行すると中心部が陥凹して潰瘍を形成し、わずかな刺激で「皮膚がん特有の出血」や浸出液を繰り返すようになります。辺縁部が黒く光沢を持った数珠状の隆起(堤防状隆起)を伴う点も特徴です。一方、有棘細胞がんは日光角化症などの前がん病変から生じることが多く、表面がカサカサとした角化性の赤みを帯びた病変から始まり、次第にカリフラワー状に盛り上がり、特有の悪臭や痛みを伴うようになります。
老人性色素斑とメラノーマの違いを見極める際、特に日本人の場合は足の裏(足底)や手掌、手足の爪に発生する「先端巨大性黒子型メラノーマ」の割合が高い点に注意が必要です。顔のシミだけに気を取られず、靴擦れや内出血と勘違いしやすい足底の黒褐色斑にも警戒の目を向けなければなりません。