ネット上のQ&Aサイトや動画プラットフォームでは、「エアコンが効かないなら市販のチャージ缶を買って自分でガスを入れれば格安で直る」という情報が散見されます。しかし、整備関係者が一様に警鐘を鳴らすのが「ガスの過充填(入れすぎ)」による二次災害です。
冷媒は多ければ多いほど冷えるわけではありません。規定量をオーバーして過充填されると、コンプレッサー内部の圧力が高まりすぎて安全弁が吹き飛ぶか、液体状態の冷媒を無理やり圧縮しようとしてピストンが粉砕する「液圧縮ロック」を引き起こします。DIYによる無謀なチャージで5万円相当のコンプレッサーを自ら破壊してしまった利用者の実例は後を絶ちません。
さらに、初歩的なオペレーションミスも看過できません。外気温が40度に迫る炎天下で「外気導入」のままエアコンを最強にしても、灼熱の外気を取り込み続けるため車内は一向に冷えません。「内気循環」への切り替え、そして走行直後に数分間窓を全開にして車内にこもった熱気を一気に押し出す「熱気抜き」を行うだけで、エアコンへの負荷と冷えるまでの時間は劇的に変わります。