近年の猛暑対策として需要が急増しているのが、運転席・助手席のサイドガラスやフロントガラスへの透明断熱フィルム施工です。しかし、オートバックスの店頭でフロントガラスへの施工を打診すると、「当店ではフロント周りの施工は受け付けておりません」と断られるケースが珍しくありません。
その最大の障壁となっているのが、道路運送車両の保安基準第29条で定められた「可視光線透過率70%以上」という厳格な車検基準です。自動車の純正フロントガラスは、最初から完全な透明ではなく、UVカット機能などにより単体ですでに73%〜76%程度の透過率しかありません。そこに透過率89%や90%を謳う高性能な透明遮熱フィルムを貼り付けたとしても、ガラスとフィルムの数値が掛け合わされることで、透過率が車検の限界値である70%〜71%前後までギリギリに低下してしまいます。
自動車技術総合機構(軽自動車検査協会および陸運支局)で使用される測定機器の個体差や、経年劣化によるフィルムのわずかな変色・濁りによって、施工時には70%を超えていても数ヶ月後の車検時に70%を下回ってしまうリスクが否定できません。指定工場・認証工場をピット内に保有する大手カー用品店にとって、保安基準適合外(不正改造)の車両を世に送り出すことは営業停止処分にも直結する致命的なリスクです。コンプライアンスを徹底する観点から、トラブルの火種になりやすいフロント周りの施工には極めて慎重、あるいは一律不可という方針を採る店舗が存在します。