ネット上の口コミで頻繁に目にするのが「ブルーブラックが色落ちして汚い緑色になった」というトラブルです。この現象は施術の失敗ではなく、毛髪内部に残る「メラニン色素」と「染料の物理的特性」による純粋な色彩理論の帰結です。
ブルーブラックの色落ちで緑になる理由は、絵の具の混色と同じ原理です。「青(カラー剤)」と「黄(髪のベースカラー)」が混ざり合うと、必然的に「緑」が生成されます。日本人の毛髪は、ブリーチを1回施した程度では内部のフェオメラニン(黄〜赤系色素)を完全には分解しきれず、脱色後はどうしても「オレンジ寄りの黄色(13〜15トーン)」が残ります。そこに強い青の染料を被せると、青が抜け落ちて薄まる過程でベースの黄色と中途半端に混ざり合い、くすんだマット(緑色)として視覚化されてしまうのです。
さらに、薬剤の分子構造も関係しています。青色の人工染料は分子が小さく、キューティクルの隙間から水に溶け出して外へ流出しやすい一方、黒みを構成する染料やアッシュ系のベース色素は毛髪内部に留まりやすい傾向があります。結果として、鮮やかな純青が真っ先に抜け、残留した黄ばみとアッシュの青みが結びつくことで、2〜3週間目に「苔のようなオリーブグリーン」が現れるのです。これを防ぐためには、カラー調合の段階で黄色の補色である「ごく少量の紫(バイオレット)」を隠し味として添加し、ベースの黄みを事前に中和しておくサロンワークが不可欠となります。