1024画がネットミームであるとしても、現実の漢字史において人間が実用、あるいは信仰の対象として生み出した「超・画数文字」は確実に存在します。その代表例を段階的に整理します。
ネット上で1024画に次ぐ規模として囁かれるのが172画漢字の真相です。これは道教の呪符(タリスマン)に用いられる「雷門」の秘文字や道教呪術の集合符が元ネタとされています。「雷」や「鬼」「神」などを極限まで重ね合わせた宗教的シンボルであり、日常のコミュニケーションを目的とした言語というよりは、神秘的な効力を宿すための宗教的図像(呪符文字)の性格を帯びています。
一方、日本国内で最も有名な超多画数文字といえば、世界一画数の多い漢字たいとです。「雲」を3つ、「龍」を3つ組み合わせた合計84画の文字で、日本人の苗字(あるいは屋号)として実在したと伝えられています。昭和30年代に証券会社の顧客名簿で確認されたという逸話が有名で、日本最大の漢和辞典である『大漢和辞典 補遺版』にも正式に収録されています。実生活での定着度には諸説あるものの、印刷物や記録に残る文字としては国内屈指の怪物級文字です。
さらに、実用文字として世界的な知名度を誇るのが、中国・陝西省の名物麺料理を表す文字です。ビャンビャン麺漢字画数は一般的に57画または58画とされ、穴冠、言、糸、長、馬、月、刂、心、辶など多種多様な部首が詰め込まれた複雑怪奇な形態を誇ります。かつては民俗的な俗字扱いでしたが、国際文字コード規格「Unicode 13.0」(Extension G、コードポイント:U+30EDD)に正式採録されたことで、世界共通のデジタル環境で表示可能な文字へと昇格を果たしました。