「オリーブベージュにしたら肌がくすんだ」と感じる現象の背景には、色彩学における補色対比とメラニン色素のメカニズムが存在します。
緑は赤の補色(反対色)です。日本人の黒髪に多く含まれる赤系メラニン色素を打ち消すには最適な色相ですが、顔まわりに強いグリーンを配置すると、視覚効果によって肌の血色感(赤み)まで同時に打ち消してしまいます。もともと血色感が控えめな方や青みが強い肌タイプの場合、緑の反射光が肌に映り込み、顔色が青白くやつれたり、オリーブが肌の黄みと不規則に干渉して土気色に見えたりするのです。
さらに見逃せないのが、「髪の明るさ(トーン)と瞳のコントラストの不一致」です。瞳の色が漆黒でコントラストがはっきりしている人が、中間的な明るさで濁りのあるオリーブベージュに染めると、顔のパーツの強さに髪色の質感が負けてしまい、全体がぼやけて疲れた印象を与えてしまいます。
肌をくすませないためには、単に「流行っているから」と標準配合で染めるのではなく、自分の肌に足りない血色感をチークやリップで補うか、カラー剤に微量のラベンダーやピンクを潜ませて「血色感を殺さないオリーブ」を作る技術的なアプローチが不可欠です。