生理現象とは対照的に、飼い主が見逃してはならないのが「病気や異常事態に伴う鼻の乾燥」です。どのような状況が重なったとき、猫の鼻の乾燥は病気のサインとして警戒すべきなのでしょうか。
最も直結しやすいのが体温の上昇です。愛猫の鼻に触れて「猫の鼻が乾いてる、しかも温かい、熱があるのでは?」と感じたときは、鼻以外の部位も複合的にチェックする必要があります。猫の平熱は38.0℃〜39.2℃と人間よりも高いため、平常時でも触れると温かく感じられます。しかし、鼻がカサカサに乾いていると同時に、耳の付け根の内側、肉球、下腹部に触れて普段と明らかに違う熱感がある場合は、発熱を疑うべきです。
猫の発熱と鼻の乾燥の見分け方として、臨床現場の獣医師は「全身の活気」と「呼吸の様子」を注視します。感染症や炎症によって体温が上がっている場合、猫は体力を温存するために身をすくめて動かなくなったり、呼吸数が1分間に30回〜40回を超えて浅く速くなったりします。鼻の乾燥単体ではなく、熱感に加えてじっとうずくまっているようなら病気の発熱リスクが極めて濃厚です。
さらに、気温が高い季節や密閉された室内で注意したいのが、猫の熱中症の初期症状としての鼻の乾きです。猫は人間のように汗をかいて体温を下げることができません。体温調節が追いつかなくなると、まず鼻や口腔内が急激に乾燥し、耳や肉球が赤く熱を持ちます。その後、口を開けてハァハァと息をする(開口呼吸・パンティング)、よだれを垂らす、目が充血するといった段階へ急速に悪化します。熱中症は数時間の遅れが命取りになるため、初期の乾燥と体温異常の段階で気づくことが生死を分けます。