デカルコマニーとは?保育と芸術を魅了する転写技法の歴史と実践法

デカルコマニーとは?保育と芸術を魅了する転写技法の歴史と実践法

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デカルコマニー(仏: décalcomanie)の語源は、フランス語の動詞「décalquer(転写する、写し取る)」に由来します。身近な例を挙げると、プラモデルの装飾や陶器の絵付けに用いられる「デカール(転写シール)」も同一の語源から派生した言葉です。

美術史の記録によると、この技法はもともと18世紀後半から19世紀のヨーロッパにおいて、磁器やガラス製品に均一な絵柄を転写するための実用的な印刷工芸技術として誕生しました。しかし、この実用技術をカンバス上の芸術表現へと劇的に転換させたのが、1930年代のシュルレアリスム運動です。

武蔵野美術大学の造形ファイルなどの公的資料によると、1936年頃、カナリア諸島出身の画家オスカル・ドミンゲスが、紙にたっぷりと塗った不透明水彩(グワッシュ)の上にもう1枚の紙やガラス板を重ね、圧力をかけて引き剥がすことで現れる有機的で複雑な模様を発見しました。ドミンゲスはこの手法を「シュルレアリスム転写技法」として発表。意識的なコントロールを排除し、無意識下のイメージを画面に引き出す「オートマティスム(自動筆記)」の理想的な実践法として、シュルレアリスムの創始者アンドレ・ブルトンから絶賛を浴びました。

さらにこの技法を発展させたのが、鬼才マックス・エルンストです。エルンストは紙だけでなく油彩画のカンバスにデカルコマニーを応用し、絵の具をガラス板で押し広げて得られた鉱物や珊瑚礁のようなテクスチャからインスピレーションを受け、名作『沈黙の目』や『雨後のヨーロッパ』といった不気味で幻想的な風景画を創り上げました。工業用の印刷技術が前衛画家の実験精神と結びついたことで、デカルコマニーは美術史にその名を刻むことになったのです。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。