経済的合理性が極めて高い一方で、臨海斎場には避けて通れない「最大の関門」が存在します。それが予約の空き状況と長期化する火葬待ち(葬儀待ち)問題です。
現場の葬儀ディレクターや利用遺族の証言によると、特に死亡者数が増加する12月〜3月の冬期繁忙期には、式場・火葬炉の予約が埋まり続け、「逝去から通夜・葬儀まで7日〜10日待ち」となる事態が日常化しています。通常期であっても、友引前後の日程や週末を希望する場合、5日前後の待機期間を見込むのが実情です。
実際に利用した世田谷区在住の遺族の手記には、次のような生々しい告白が綴られています。
「父が亡くなった後、5区住民料金が使える臨海斎場を強く希望しました。しかし葬儀社から提示された最短日程は8日後。『ご遺体の保冷維持費(ドライアイス代や保冷安置室使用料)が1日あたり1万5千〜2万円ずつ加算され、待つ期間が長くなると式場代が安く済んでも総額の差が縮まってしまいます』と説明を受け、愕然としました」(60代遺族の証言手記より)
臨海斎場内にも遺体保管施設(保冷室)が整備されていますが、保管枠にも上限があるため、民間葬儀社の専用遺体ホテルや安置施設を利用せざるを得ないケースが頻発しています。結果として、「日程を優先して民間斎場で行うか」「安置料を支払ってでも臨海斎場の空きを待つか」のシビアな天秤にかけられることになります。