長年にわたり折り合いが悪く、一時は約10年間ものあいだ絶縁状態が続いていた母子。しかし、母親ががんを患い、病床に伏しているという報せが届いたことで、止まっていた時計の針が再び動き始める。
弟からの申し出を受け、葛藤の末に病院へと足を運んだ彼。面会を果たした際、痩せ細った母親から発せられたのは「ごめんなさい」という一言だったという。愛憎半ばする長年の感情が、その一言によってゆっくりと溶け出していった。
母親が息を引き取る数週間前、最期の対話を通じて長年の確執に終止符が打たれた。許しと感謝、そして一縷の寂しさ。波乱に満ちた母の生涯を見送ったことで、彼は一人の人間として、そして演者としてさらなる精神的深みを手に入れたのである。