二人の結婚当初、世間の視線は少なからず慎重だった。宮沢りえが前夫との間に授かった愛娘は、当時まだ小学生。多感な時期に新しい「父親」を迎えるハードルは、決して低いものではない。だが、森田剛が取ったアプローチは驚くほど自然体だった。父親ぶるわけでもなく、かといって他人行儀にもならない。一人の人間として真っ直ぐ向き合い、焦らず時間をかけて信頼の糸を紡いでいったのだ。
森田は結婚にあたり、宮沢の姓を選んだ。娘の苗字が変わることで学校生活に生じる摩擦を避けたいという、深い配慮からだ。自分自身のこだわりをあっさりと捨て、妻と娘の歩んできた時間をまるごと包み込む選択。その姿勢が、娘の心を開く決定打となったことは疑いようがない。気づけば二人で買い物に出かけたり、共通の趣味を笑いながら語り合ったりする、何でも話せる確固たる父娘関係が完成していた。