彼女の表現者としての人生を語る上で、切っても切り離せない存在が夫であり元俳優の郷鍈治である。日活のアクション映画などで悪役や名バイプレイヤーとして活躍した彼と結婚した後、二人は公私ともにかけがえのないパートナーシップを育んでいった。
彼女が表舞台で見せる多才な演技の陰には、常に夫による温かいサポートと助言があったと言われている。演じることの苦しみや歓喜を共有できる同志でもあった二人の絆は、きわめて深いものだった。しかし1992年、最愛の夫が病により帰らぬ人となると、彼女はすべての芸能活動を静かに停止し、芸能界から潔く身を引いた。スポットライトの当たる華やかな世界への未練をいっさい見せず、沈黙を守り続ける姿勢は、夫への深い愛の証であり、自らの美学を貫く一途な生き様そのものであった。