事態の異常さは、数字を見れば一目瞭然だ。農林水産省が公表した最新の相対取引価格(業者間で売買される価格)データを紐解くと、前年比で数割増という歴史的な高水準が維持されている。新米が出回れば安くなる――そんな市場の淡い期待はあっけなく打ち砕かれた。
かつて全国の店頭から米が姿を消し、人々が買い走った「令和の米騒動」。あの混乱期を経て供給自体は一定程度回復したものの、価格の天井はいまだに見えない。なぜ流通量は戻ったのに安くならないのか。官庁の公表資料に現れない市場の地殻変動が、背後で着々と進行しているからだ。