なぜ、これほどまでに恵方巻きが国民的行事として定着したのだろうか。その仕掛けを知ると、行事に対する見方が一変する。
もともと大阪の花街周辺で細々と行われていたとされる「丸かぶり」の風習に着目したのが、全国海苔貝類漁業協同組合連合会などの業界団体だった。その後、1980年代後半にセブン-イレブン・ジャパンが広島県の一部店舗で試行販売を開始。「恵方巻き」と名付けて販売したところ大ヒットを記録し、やがてコンビニエンスストア業界全体を巻き込む恵方巻全国展開プロジェクトへと結実していった。
つまり、私たちが親しんでいるスタイルの恵方巻きは、高度な商業マーケティングが生み出した現代のヒットイベントなのだ。伝統食文化としての側面を持ちつつも、企業の販促キャンペーンがきっかけで広がった歴史を知れば、「食べない選択」に対して不要な罪悪感を抱く必要もないと分かるはずだ。