『まぐだら屋のマリア』に登場する人々は、誰もが胸の奥に拭いきれない孤独や過去の痛みを抱えています。彼らが織りなす不器用で温かな人間模様こそが、本作の大きな魅力です。
古市紫門(しもん):
本作の主人公。天性の味覚と技術を持つ元フレンチシェフ。挫折から人間不信に陥っていましたが、マリアの作る素朴な料理に触れることで、自らが料理を作る本当の意味を見つめ直していきます。
マリア:
「まぐだら屋」を一人で切り盛りする白髪の老婆。言葉を発することはほとんどなく、その素性や本名は厚いベールに包まれています。訪れる人々にただ黙って滋味深い料理を振る舞い、どんな過去を持つ人間も決して拒みません。
みろく:
岬の近くにある寺の住職であり、マリアの過去を知る数少ない理解者。飄々とした佇まいの中に深い慈悲の心を湛えており、紫門を温かく見守りながら、時に人生の道標となる言葉を授けます。
ゆり江と岬の住人たち:
過酷な自然環境の中で生きる地元の人々や、心に傷を抱えて岬へ流れ着いた人々。「まぐだら屋」という止まり木に集まる彼らとの交流を通じて、紫門は少しずつ他者との絆を取り戻していきます。