政権中枢でこの極秘プランが浮上した当初、周囲の反応は決して好意的なものばかりではなかった。「現職の首相がキャラクターのコスプレをするなど品位に欠けるのではないか」「政治利用と捉えられかねない」といった慎重論が省庁内や与党幹部から相次いだのは紛れもない事実である。しかし、他ならぬ安倍晋三本人がこの案に強い関心を示した。
海外での認知度、そして老若男女を問わず愛される存在感。自国の魅力を一瞬で世界へ伝えるためのアイコンとして選ばれたのが、任天堂株式会社が世界に誇る大ヒット作『スーパーマリオブラザーズ』だった。企業側のブランディングに対する繊細な配慮と、国家のトップが自らピエロ役すら買って出るという覚悟。双方の思惑が見事に合致した瞬間だった。