死を連想させる暗い施設からの脱却において、建築界が果たした役割は極めて大きい。とりわけ建築家の宮本忠長は、長野市をはじめとする全国の火葬場設計において、従来の忌避感を覆す革新的な意匠を提示した。自然光を取り入れた明るいエントランス、豊かな緑地と一体化した静謐な景観、そして煙突を一切排除した流麗なシルエット。彼の試みは、火葬場を「忌み嫌われる処刑場のような場所」から「残された者が故人を静かに偲ぶ公園的空間」へと昇華させた。
こうした空間の進化は、遺族の心理的救済にも直結している。アカデミー賞を受賞した映画『おくりびと』では、納棺師の手によって美しく整えられた故人が、穏やかな光の射し込む近代的な空間から送られていく静寂のドラマが描かれた。おどろおどろしい煙突の影を拭い去った現代の意匠は、生者と死者が美しく別れを告げるための不可欠な舞台装置となっている。