かつてメキシコのカンクンやジャマイカがカリブ観光の代名詞だった時代を経て、現在の旅の手練れたちが目指すのはさらに南、小アンティル諸島に点在する小さな島々だ。例えばアンギラやセントビンセント・グレナディーン諸島は、大型クルーズ船の寄港を制限することで、静寂と美しさを奇跡的な精度で保ち続けている。
朝起きてラナイの扉を開けると、そこには静寂に包まれたプライベートな入り江。波が引くたびに聞こえる粉砕されたピンクシェルと細砂の擦れる音が、心地よいリズムとして耳に届く。観光地特有の喧騒とは無縁の時間が、ここには確実に流れている。