俳優・小林薫がマスターを演じた実写ドラマおよび映画シリーズは、日本国内にとどまらずアジア圏を中心に世界中で社会現象となりました。ただし、原作漫画とドラマ版には決定的なテイストの違いが存在します。
ドラマ版は、哀愁漂うセット美術や叙情的な劇伴、そしてオダギリジョーが演じる謎の常連客「カタギリ」や交番の巡査「小暮」など、実写オリジナルのキャラクターを配置することで映像作品としての連続性と重厚なドラマ性を強調しています。一方の原作漫画は、より軽妙でどこかドライ、人間の滑稽さやちょっとした毒気も包み隠さず描くシュールなユーモアが持ち味です。4コマ漫画出身の安倍夜郎氏ならではの無駄を削ぎ落としたコマ運びと間合いは、原作コミックでしか味わえない格別の情緒を生み出しています。