1998年、矢沢永吉の音楽人生を根底から揺るがす未曾有の大事件が発生します。オーストラリア・ゴールドコーストに音楽スタジオとビルを建設するプロジェクトにおいて、現地法人の元側近スタッフらによる巨額横領・詐欺事件が発覚。矢沢は突如として約35億円もの巨額借金を背負わされることになりました。
信頼していた部下の裏切り、メディアによる「矢沢破産か」とのセンセーショナルなバッシング。稀代のロックスターといえども毎晩酒に溺れ、精神的に追い詰められていた矢沢を救ったのは、妻マリアさんの毅然とした一言でした。
「たかがお金じゃない。命を取られたわけじゃないし、あなたには歌がある。大丈夫、また稼げばいいのよ」
この言葉に憑き物が落ちた矢沢は、「世界一の借金を背負った男のドラマを演じてやる」と再起を決意。年間100本近い過酷な全国ツアーの敢行、CM出演、さらには日本武道館公演の記録更新などを重ね、なんとわずか約6年で35億円を完済するという前代未聞の奇跡を成し遂げました。この逆境の共有こそが、矢沢とマリアさんの夫婦の絆を単なる男女の関係から「運命共同体」へと昇華させた決定打となりました。