東北の中枢都市であり、人口規模や若年層の人口比率も高い仙台に、なぜ未だスポッチャが誕生しないのでしょうか。不動産開発の専門家やアミューズメント業界関係者への取材から、主に3つの構造的な要因が浮かび上がってきます。
第1の要因は、建築構造上の厳しいクリア基準です。スポッチャは屋内テニスコートやミニサッカー場、3×3バスケットコート、バッティングケージなどをワンフロアまたは連続した吹き抜け空間に配置する必要があり、一般的なボウリング場やゲームセンターとは比較にならない天井高(最低でも5〜6メートル以上)と、柱の間隔が広いメガフロアを要求されます。多層階ビルのテナントとして入居する場合、床の耐荷重や防音・防振設計の改修コストが跳ね上がるため、既存物件の居抜き活用が極めて困難です。
第2に、仙台都市圏における大規模ロードサイド用地の確保難度が挙げられます。スポッチャ併設の「ラウンドワンスタジアム」は、数百台規模の無料駐車場を備えた広大な敷地を前提としています。仙台市内の主要幹線道路沿いやインターチェンジ周辺は、すでに大型ショッピングモールや物流倉庫、アウトレットモールとの用地獲得競争が激化しており、採算ベースに見合う敷地面積の確保が容易ではありません。
第3は、東北エリアにおけるドミナント戦略と商圏配分です。ラウンドワンは東北エリアにおいて、福島県(郡山・福島)や岩手県(盛岡)などの交通要衝にスタジアム店舗を先行展開してきました。近隣県のスタジアム店舗が広域からの集客を受け皿として機能していることから、巨額の新規投資を伴う宮城へのスタジアム新設には慎重な判断が下されているのが実情です。