ネット上で語られるだんじり祭りのイメージには、過激な側面のみが切り取られた誤解が少なくありません。報道の断片から生じている主要な誤認識を是正しておく必要があります。
まず、「無秩序な暴走族のように走っている」という誤解です。実際のだんじり運行は、青年団(曳き手)、組(後梃子)、若頭(統括・警備)、世話人(町会役員)といった厳格なピラミッド型の年齢階梯制組織によってミリ単位で統制されています。無許可の勝手な疾走は許されず、各町の運行スケジュールや合流地点の管理は秒刻みのタイムテーブルで制御されています。
次に、「飲酒運転が野放しになっている」という批判です。昭和の時代には曳行中の飲酒が見られた時期もありましたが、現在では警察および祭礼関係団体による指導が極めて厳しく、曳行に関わるすべての役員・参加者に対して事前のアルコール検知器による検査が実施されています。酒気帯びが発覚した場合、その町の地車運行自体が差し止められる重いペナルティが課される体制に改められています。
また、見物客の死傷事故についても、その多くは「主催者側が指定した安全区域外への無断立ち入り」や「警備員の退避指示の無視」に起因しています。観光客の増加に伴い、危険交差点の最前列でスマートフォン撮影を行おうとする観客が押し寄せるなど、祭りの運行側だけでは防ぎきれない外部要因のマネジメントが最大の課題となっています。