病棟のベッドを埋めているのは、急性期の治療を終えてもなお「帰り場所」を見出せない高齢者たちだ。
高度経済成長期に開発された南大阪一帯のマンモス団地群では、住民の高齢化と単身化が一気に進んだ。80代の親を60代の無職の子が介護する「老老介護」、あるいは認知症を患った独居高齢者の孤立。肺炎や骨折の治療自体は10日で完了しても、退院後の生活支援や受け入れ施設が見つからず、退院調整が数ヶ月におよぶケースが後を絶たない。
国が推進してきた「病院から在宅へ」というスローガンは、受皿となる家族や訪問介護事業所が疲弊しきった地域では空転を続ける。結果として、急性期病床が福祉のシェルター代わりに機能せざるを得ないのが、2026年現在の偽らざる実態だ。