世界史の中で「愛妾」の存在が最も巨大な影響力を誇ったのが中国歴代王朝です。後宮に数千人の美女を集めた歴代皇帝にとって、中国皇帝の愛妾は単なる私生活のパートナーを超え、国家の命運を左右する政治的ファクターでした。
代表格として挙げられるのが、唐の玄宗皇帝を魅了した楊貴妃(ようきひ)です。玄宗は彼女への寵愛のあまり政務を疎かにし、一族を要職に就けた結果、国家を揺るがす「安史の乱」を招く引き金となりました。美貌によって国を傾けさせた女性を指す「傾国(けいこく)の美女」という成句は、まさにこうした愛妾たちの存在から生まれています。
また、古代殷(いん)の紂王を惑わせた妲己(だっき)や、漢の武帝の心を捉えて離さなかった李夫人など、君主の判断力を狂わせ、歴史の転換点を作った女性たちの多くが、後世の記録において「最愛の愛妾・寵妃」として語り継がれています。