任天堂のロゴ変遷を俯瞰すると、優れたブランドが時代を生き抜くための決定的な教訓が浮かび上がってきます。それは「本質的なアイデンティティ(遊びの精神)を保ちながら、時代の器(プラットフォーム)に合わせて形を柔軟に変える」というしなやかさです。
多くの企業がブランドの歴史を重ねる中で、過去の成功体験に縛られてCIを硬直化させてしまいがちです。しかし任天堂は、花札の「丸福」からトランプの英字、アーケードの立体ロゴ、ファミコンの赤枠、Wiiのグレー、そしてSwitchの錯視補正アイコンに至るまで、自らの主力製品が最も映える形へと自己変革を恐れませんでした。
古き良きレトロな旧ロゴに愛着を感じるファンも、現代の洗練されたUIに魅了される新規ユーザーも、すべて等しく「任天堂らしさ」を感じ取ることができるのは、表面的な意匠の裏側に一貫したデザイン哲学と品質への誠実さが流れているからに他なりません。